ダイエットの新常識17:「塩味が美味しい」と感じるのは、無意識の影響
塩は大切。でも過剰摂取に気をつけて
私たちが提唱する塩分ファスティング(とこわか式塩抜きダイエット)は、簡単に言えば次のような目的を持っています。
「塩分を適切にコントロールすることで体内の余分な水分を排出し、むくみを改善する」
過剰に摂取している塩分を減らすことで、むくみ・水太り肥満は解消に向かいます。他の章で書いた、「1:111の法則」を思い出してください。
(注)私たちの体内水分は食塩水、その濃度は0.9%
https://bit.ly/3P7WVgc
このように、体内の塩分量を減らすと自動的に水分量も減るのですが、
1)「塩は体にとって大切なものなんじゃないの?」
という意見が出てくることがあります。
2)「体にとって塩が大切だから、私たちは塩味を美味しいと思うのではないの?」
という意見もあります。
1)2)とも、
「部分的には正しい」です。
今回はこのことについて考察してみましょう。
味覚が教えてくれること
そもそも、私たちに「味覚」という能力が備わっている理由は何でしょうか?
味覚の役割は、大きく分けて次の2つに集約されます。
- 必要な栄養素を見分ける
- 有害物質を回避する
たとえば、甘味は炭水化物というエネルギー源、塩味はミネラル、旨味はタンパク質やアミノ酸の存在を示します。一方で、酸味や苦味は腐敗や毒性の可能性を教えてくれます。
つまり、味覚は「生きるために必要なものを選ぶ」ための重要なセンサーなのです。
疲れたときに「甘いものが欲しい」と感じたり、大量に汗をかいた後に「しょっぱいものが食べたい」と思うのは、体が必要としているものを無意識に示しているのです。このように、自分の体と正直に向き合いながら摂取する塩分量を調整することは、理にかなっています。
味覚に隠された落とし穴
しかし、現代社会では味覚が外部から影響を受け、「自然な状態」で機能していないことが少なくありません。広告や習慣、記憶といった外的要因が、私たちの味覚に大きく影響を与えています。
その結果、すでに塩分を過剰摂取している人でも「塩味の濃い食べ物が美味しい」と感じてしまうのです。この現象には次のような要因が関与しています。
1. 脳内報酬系とドーパミンの作用
塩味は脳内の報酬系を刺激し、ドーパミンを分泌させることで「心地よさ」を生み出します。この快楽感がさらなる塩分摂取を促進し、過剰摂取に陥る原因となります。
2. 味覚の順応としきい値の上昇
塩味に慣れた舌は、次第に濃い味でなければ満足できなくなります。この「しきい値」の上昇は、さらに強い塩味を求める行動を引き起こします。
3. 長年の食習慣
日常的に塩味の濃い食事を摂取していると、それが基準となり「普通の味」だと錯覚するようになります。こうした習慣が味覚に与える影響は非常に強力です。
「生理的な味覚」と「操作された味覚」の違い
私たちの味覚は、大きく2つに分けて考えられます。
-
生理的な味覚
体が本当に必要としている栄養素を教えてくれる純粋な感覚。 -
操作された味覚
過去の経験や習慣、報酬系の働きによって歪められた感覚。
操作された味覚に従って食べ続けると、過剰摂取が習慣化し、体に不要なものまで取り込んでしまいます。
甘味にも応用される「2つの味覚」の考え方
この「生理的な味覚」と「操作された味覚」の違いは、塩味だけでなく甘味にも当てはまります。本当にエネルギーが不足しているときの「甘いものが食べたい」という欲求は生理的なものですが、多くの場合、ストレスや習慣に影響された「甘いものが欲しい」は操作された味覚に由来します。
まとめ:「塩分を摂りたい」という欲求の真実を見極める
塩分を語る際にも、この2つの欲求を区別するべきです。
「塩は体に大切だ。だから、体が欲しているだけ塩分は摂ってよい」
という見解がいかに乱暴なものであるか、お分かりいただけたと思います。
塩分摂取をコントロールする際には、自分の味覚が「生理的なもの」か「操作されたもの」かを見極めることが不可欠です。
※著者より:
本文中で記載している「塩の量÷水分の量=0.9%」については、正確にお伝えすると「塩の量÷(塩の量+水分の量)=0.9%」となります。小学校で習う食塩水の公式です。しかし、「塩の量÷(塩の量+水分の量)=0.9%」という表記では非常に分かりにくく、本質を掴むために敢えて「塩の量÷水分の量=0.9%」と記載をしています。本記事中の食塩水濃度の記載は全てこの記載方法を取っております。悪しからずご了承下さい。
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【塩分ファスティング(とこわか式塩抜きダイエット)】
https://na-fasting.com/
instagram: https://www.instagram.com/na_fasting
・食べても痩せるダイエット法
・3日(もしくは2日)間、塩分を一切摂取しない日々を実践。
・1日3食しっかり食べ、水分も摂取。塩分だけをカット。食欲は我慢しない。
・その後、味覚・体型・心境の変化を確認。以前とは異なり、塩分量をケアしながら生活できるようになっている為、あなたはリバウンドしにくい味覚へと変化。