ダイエットの新常識21:なぜ、「塩分は減らす必要がない」という意見があるのか?
健康、それとも美容?
まず結論からお伝えします。
塩分に関する議論は、大きく以下の2つの観点に分かれます。
- 健康面:高血圧や病気の予防・治療を目指す
- 美容面:むくみ解消やスッキリとした体型づくりを目指す
自分の目標が健康であるのか、それとも美容なのかを明確にし、その上で現在の塩分摂取量が多いのか少ないのかを考えることが重要です。
「健康」視点で塩分が見直されてきた経緯
1950年代以降、「塩分摂取が健康に悪影響を与える」というテーマが医学界を中心に語られ続けてきました。
しかし、その議論には時代背景や人々の都合が深く影響し、時に一面的な解釈が極論として語られてしまうこともあります。
そこで、まずは日本人の塩分摂取量の歴史を振り返ってみましょう。
食塩摂取量の変遷(1日あたり)
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1950年代:約14.5g
保存食の多用や味噌・醤油を多く使った調理が一般的だった時代。冷蔵技術の普及もなく、塩分を効かせた食品が多く消費されていました。 -
1970年代:約13.5g
高血圧や脳卒中の予防が叫ばれ、政府が減塩を推奨し始めました。 -
1980年代:約12.5g
健康志向の高まりとともに、減塩食品や外食での減塩意識が向上しました。 -
1990年代:約11.0g
国民の健康意識の定着により、摂取量が10g台前半にまで減少しました。 -
2000年代:約10.5g
厚生労働省がさらなる減塩を提唱。減塩調味料が普及しました。 -
2020年代:男性約10.4g、女性約9.0g
現在の目標値は男性7.5g、女性6.5g以下ですが、依然として目標には届いていません。
※出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」および日本高血圧学会のデータより。
「高塩分摂取」時代の背景と見直しの始まり
戦後間もない1950年代、日本人の塩分摂取量が非常に多かった背景には、次の要因があります。
- 保存食の多用:冷蔵技術の普及前、塩漬けや味噌漬けが食品保存の主流でした。
- 調味料の使用頻度:味噌や醤油が多用され、塩分摂取量が増加。
- 家庭料理中心の食生活:洋食や加工食品が普及していなかったため、塩を効かせた和食が主流でした。
1970年代以降、塩分摂取と健康被害(特に高血圧)の関連が指摘され、国を挙げて減塩が進められました。疫学研究により、塩分摂取量が多い地域(特に東北地方)で高血圧や脳卒中の発症率が高いことが確認され、減塩意識が高まりました。
「塩分=悪者」論への反動
1990年代以降、「減塩」という考え方が社会に浸透した一方で、2000年代に入ると次のような意見も出てきました。
- 「塩は人間にとって必要不可欠」
- 「精製塩ではなく、海塩なら問題ない」
これらの主張の多くは科学的根拠に乏しい場合が多く、エビデンスの不足が指摘されていますが、一定の支持を集めました。このように「塩と健康」に関する議論は、依然として賛否両論が存在しています。
タイトルにある「塩分は減らす必要がない」という論点は、この時代から盛り上がりを見せてきたのです。
「健康」から「美容」へのシフト
これまでの塩分議論は主に健康をテーマにしていました。
しかし、現代では健康だけでなく、美容を重視する考え方が広がっています。
塩分ファスティング(とこわか式塩抜きダイエット)は、美容に着目し、「むくみを解消してスッキリした体型を作る」ことを目的としています。健康面における塩分摂取の是非を議論するのではなく、美しく生きるための塩分との向き合い方を提案するものです。
現代における「塩分」との付き合い方
私たちが考えるべき問いはこうです。
「どのような体型やライフスタイルで生きたいのか?」
- 1950年代:生きることそのものが目標だった時代
- 1970年代以降:「健康的に生きる」ことがテーマになった時代
- 2020年代:健康でありながら、美しく生きることを目指す時代
塩分を摂取するか控えるかという問いを、美容や生活の質という観点から考えることが、これからの新常識なのではないでしょうか。